闇に溺れた天使にキスを。
神田くんは窓際の席から立ち、自分のお弁当や水筒が置かれている真ん中の席へと移動した。
「ほら、白野さんもこっちにおいで」
呼ばれたことが嬉しくて、本当に受け入れてくれたような気がして。
思わず頬が緩みながら神田くんの元へと向かう。
「もー、そんなかわいく笑って」
「え…」
「なんでもないよ。食べよう?」
「う、うん」
神田くんとひとつの机を挟み、向かい合って座る。
「神田くんは、まだご飯食べてなかったの?」
「うん、そうだよ。
先に食べるのは良くないかなと思って」
「……え」
彼の言葉が引っかかり、顔を上げる。
すると彼は嬉しそうに笑っていた。
「初めて白野さんから来てくれて、本当に嬉しかったなぁ。必要とされた気分だ」
「……っ」
もしかして、もしかすると───
彼は私がここに戻ってくることを、見越していた?