アナログ恋愛
「あたしケータイ持ってないんです。」
「は?まじで!?」
目を丸くする先輩の反応は、あたしにとって かなり見慣れたもの。
見た目は普通の女子高生だし、仕方ないんだろうね。
最近だと、小学生だってケータイ持ってるもん。
「んー…じゃあ とりあえず家電でいいや。
学校では…緊急の時は放送で呼び出しでもするし。」
「…」
「? どうした?」
「いや…、理由聞かないんだな、と思って。」
今までは、みんな「なんで?」「どうして?」って しつこいくらい聞いてきたのに。
確かに変わってるのかもしれない。
でも、ケータイ持ってないのは そんなにいけないこと?、って いつも思ってた。
まぁ、理由話したら大抵理解してくれたし、いい友達に恵まれてるとは思ってるんだけど。
理由すら聞かれなかったのって、初めてかもしれない。
「なに、聞いてほしかったの?」
「あ、いや、そういうわけじゃ…」
「じゃあ いいじゃん。別に絶対持たなきゃいけないものじゃないでしょ。」
「はい…。」
松谷先輩って、なんか不思議。
でも悪い人じゃないんだろうな。