アナログ恋愛
たまたま通りすがった先生(間違いなく、小野チャンではない)か、クラスメート…?
他クラスの可能性もゼロじゃないし…。
でも あたしが見覚えのない字ということは、そんなに深い関係じゃない筈。
良くて知り合い程度。
下手すると見知らぬ人。
余程のお人好しだろうか…。
「おーい…梢ってば!」
「!」
付箋を指で弄びながら考えに没頭していたあたしを現実に引き戻したのは、隣の席の親友、咲(サキ)だった。
「今日はどしたの?…なんか変だよ?」
さっきから何度も呼んだのに、と心配そうな顔をする咲に、慌てて謝った。
ふと辺りを見回すと、いつの間にか授業が始まっていて。
古文の先生(通称:おじいちゃん)は、名前の通り、結構年がいってる。
そのせいもあってか、生徒が話してようと、早弁してようと、気にしない。
あまりにもうるさかったりすれば怒るみたいだけど、小声でコソコソやってるぐらいなら、全くお咎めなしなので、すごくありがたい存在だ。
…まるで小野チャンとは正反対。