アナログ恋愛
「あ。今から松谷のとこか?」
そういえば、と 思い出したように問う小野チャンに、こくんと頷いてみせる。
時計を見れば、まだ4時前。
昨日は遅れてしまったけど、今日はその心配もないだろう。
「そうか。じゃあ松谷によろしくな。」
「はぁーい。」
失礼しましたー、と職員室を後にしたあたしは、そのまま第二会議室へ向かうことにした。
きっと、先輩はもう仕事始めてるだろうから。
プリントも済んで、どうせ暇だしね。
少し早いけど、昨日遅れた代わりだと思えばいい。
「失礼しまーす。」
「おぉ!!梢チャン。今日早いね?」
「あぁー…プリント終わったので。」
にっこり笑って「そっか」と呟いた先輩は、「じゃあ早速お願いしていい?」と書類を差し出した。
「これね、此処と此処の金額が間違ってると思うから、このクラスの生徒に確認取りに行ってくれる?」
「3年E組…ですね?」
「そうそう。」
にこにこ笑いながら「よろしくー」と手を振る先輩にペコリと頭を下げて会議室を出る。
…この日ぐらいまでは、まだ良かった。