アナログ恋愛
ドアの近くに立ったまま 自己嫌悪に陥っていると、先輩がにっこり笑う。
…あぁ、あたし、この人のこういうところ好きかも。
先輩が笑ってくれるだけで、なんだか心が安らぐんだ。
先輩は人の気持ちを読み取るのがうまいから、こんな風にさりげなく助けてくれるのかな。
すごくモテるのも、きっと外見だけが理由じゃないんだね。
「あ!梢、帰ったばかりで悪いんだけど、ちょっとおつかい頼まれてくれる?」
「…どこへ行ったらいいんですか?」
「ちょっと生徒会室行って、これ渡してきて?」
そう言って渡されたのは、数枚の書類。
それ終わったら帰っていいからさ、と付け足された言葉に 自然と顔がゆるむ。
-実は今日、まだプリントが終わっていないのだ。
最後の問題がどうしても解けず、奮闘している間に4時半になってしまった。
先輩には言ってないから きっと偶然だろうけど、早く終わるのはすごく助かる。
プリントを出すまで帰れないから、今日は何時になるのかとヒヤヒヤしていたが、これならそんなに遅くならないかもしれない。
笑顔で「いってきます」を言い、第二会議室の扉を開けた。