アナログ恋愛


「失礼しまーす。」

「あら、意外。」


いつものように、第二会議室の扉を開けた。
時間は4時半ぴったり。


「…意外ってどういうことですか?」

「寝てるかと思ってたから。」

「!?」


鋭い…。

どっかで見てたの?
いや、でもそんな…



……まさか、先輩が『付箋の人』!?


「ほっぺ、」


混乱するあたしを余所に、先輩はゆっくりと口を開いた。


「え?」


…ほっぺ?


「袖口の型ついちゃってるよ。」


にっこり笑って自分の頬を指差す先輩。


「-…!!」


――前言撤回。

やっぱり先輩じゃないよね、絶対。


その後 鏡を見ると、確かにカーディガンの袖口の型がハッキリとついていた。

…此処に来るまで、誰にも会わなくてホントよかった。

先輩に見られただけでも十分恥ずかしいけれど。


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