アナログ恋愛



「…で、どのようなご用件でしょうか。」

「どしたの、そんな改まって。」


いや、混乱してるんだもん。
先輩はてっきり呼び出し放送でもするのかと思ってたから。

ただ呼び出されるなら、読むのは放送部か先生だから、別にいいんだよ。
(恥ずかしいけど。)

でも、先輩が直接呼びに来たとなれば、恥ずかしいどころの問題じゃない。

よく考えれば、朝は直接教室に来てたんだけど。
その可能性なんてすっかり頭から抜け落ちていたんだ。



「実はさ、明日からやる予定だったリハ、1日前倒しになって、今日やることになったらしいんだよね。」

「へ?」

「…で、それが4時からなんだよ。」



4時…。
…プリントやる時間足りない!!!


「今日のリハは1回目だし、どうしても…ってことはないから、いなくてもいいけど…」


どうする?と先輩は首を傾げる。

うーん…困ったな。



「とりあえず、俺は行かなきゃいけないんだけどさ。梢プリントあるだろ?
…1回目だから、たぶんグダグダになって時間も余計にかかると思うし。」

「ん…今日まだプリント全然終わってないんです。明日からは出るので、今日はちょっと…。」

「了解。全然いいよ。じゃあ今日は手伝いナシで。
小野チャンには言わないし、安心しな。」


にっこりと笑った先輩は、やっぱりいい人だと思う。
…さっき心の中で散々文句を言ってしまったことを少し心苦しく感じた―。


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