アナログ恋愛
「じゃあ、明日も遅刻すんなよ。」
「はーい…。」
「じゃあな。」
あの後、「もう遅いから」と家まで送ってくれた小野チャンに玄関先で手を振る。
よかったらお茶でも…とは言ってみたけど、そこはやっぱり『教師』で、
「いや、いいよ。」の一言でかわされてしまった。
…いや、どうしても寄っていってほしかったわけじゃないけどさ。
でも どうせ家には1人だし、小野チャンと一緒にいるのは落ち着くから。
「あ、及川。」
車に乗ろうとして、何かを思い出したように戻ってくる小野チャン
「手、出して。」
「?」
なんだかわからなかったけど、言われるがままに両手を出すと、
「やる。」という短い一言と共に後ろから出された小野チャンの右手が、何かを置いた。
「………プーさん?」
そこにいたのは、プーさんのぬいぐるみ。