アナログ恋愛
「――はい、どうぞ。」
部屋に入ってすぐ、お茶と共に出されたのは、あたしが大好きなお店の和菓子。
そのお店はお父さんのお墓の近くにあって、そこへ行く時はいつも買っていくもの。
お父さんは生前からこのお菓子が大好きだった。
おばあちゃんが昔からよく買ってて、小さい頃から食べてたんだって。
あたしが食べるのは、お父さんのお墓参りをするときぐらいだけど、
おばあちゃんは今でも、こうして時々買いに行く。
「…いただきます。」
―ふんわりした甘さが、口の中に広がって。
「慎二のところへ行ってきてね。せっかくだから、梢と一緒に食べようと思って。」
―そう言ったおばあちゃんの顔が優しすぎて。
「おばあちゃん…」
ごめんなさい。
ちょっとだけ、泣いてもいい?