アナログ恋愛



「――そう。そんなことがあったの。」


全てを話し終えたあたしは、おばあちゃんの顔を見ることができなくて、ただ俯いたまま次の言葉を待った。

何と言われるだろうか。



「梢が、悪いことをしたと思っているなら、謝るしかないでしょう?」

「うん…。」



…でも、もし許してくれなかったら?

そのとき、あたしはどうすればいい?



「大丈夫よ。…だって、その先輩は優しい人なんでしょう?」


あたしの気持ちを読み取ったかのように、おばあちゃんはにこにこと言う。


――あぁ、そうか。
あたしはなんでこんな、簡単なことに気付かなかったんだろう。


先輩は、そんなに心の狭い人間じゃない。
ちゃんと、心をこめて謝罪すれば、きっと許してくれる。

それに、もし――許してくれなかったとしても、それは仕方がないこと。

あたしは先輩を傷つけたのだから。
許してもらえるまで、謝るしかないんだ。




「…そうだよね。ありがとう、おばあちゃん。」

「大丈夫。きっと許してくれるよ。」



…明後日。
朝一で先輩のところへ行こう。

もし、まだ来てなかったら、そのときは昼休みだ。

とにかく、謝って、謝って。
できる限りの誠意をみせよう。

…―あたしの頬を叩いてもらいたいぐらいだけど、それはきっと無理だから。
言葉で、精一杯の気持ちを伝えよう。


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