アナログ恋愛
「…今日はごめんね。」
「いいのよ、全然。」
だって私は梢の『おばあちゃん』だから、と付け加えて 微笑むおばあちゃん。
あの後、あっという間に時は過ぎて、もう外は薄暗い。
あたしは自分の家に帰るために、玄関先に立っていた。
「…ありがとう、おばあちゃん。」
―おばあちゃんに話して良かった。
心から、そう思った。
「どういたしまして。気をつけて帰るのよ。」
「うん。」
また来週 来るからね。
ばいばい、おばあちゃん。
「――ただいま。」
「おかえり。」
家に帰ると、笑顔で迎えてくれたお母さん。
その背後からは、夕御飯のにおい。
…きっと、お母さんも心配してくれてたんだ。
だから、でしょ?
「今日はカレー?」
「そうよ。」
にこりと笑ったお母さんは、あたしの好きなものを知ってる。
今日はカレー。
…温泉卵が乗せられた、あたしの大好物。