アナログ恋愛
「…いやいやいや、ないよ。」
のぼせる手前でお風呂からあがって、ベッドに倒れこむ。
まだ少しボーっとする頭で、先程頭に浮かんだ人物を、1人ずつ否定した。
――先輩は…昨日のことがあって、ずっと考えてたから、今頭に浮かんじゃっただけ。
別に『好き』とかじゃない…と思う。
まして、『付箋の人』なんて、顔も知らない。
小野チャンは…よくわからないけど。
あの、あたたかくて大きな手も、
たまに見せる、穏やかな笑顔も。
思い出すだけで、やさしい気持ちになれる。
…胸の奥が あったかくなる。
――これが、『好き』なの?
「…ねぇ、プーさん。」
わかんないよ。
助けてよ。
すっかり部屋に馴染んだプーさんに手を伸ばす。
小さい子にする『たかいたかい』みたいに持ち上げて、その目をじっと見つめた。
それでも、プーさんが答えをくれるわけもなくて、あたしは小さくため息をついた。