アナログ恋愛
1日目
「はい、今日の分。」
朝のSHR後、小野チャンから渡されたそれを、無言で受け取る。
がんばれよー…という言葉を残してひらひらと手を振り、去っていく後ろ姿が憎かった。
「げぇー…難しそう。」
よりによって、課題プリントは、あたしの大嫌いな数学。
来週の月曜日から1日1枚ずつ、ちょうど文化祭前日までの15日間毎日提出。
(家でやって夜更かししたら遅刻するだろうという小野チャンの読みにより、毎朝その日の分を渡されるというシステム)
加えて、今校内で1番忙しい(と思われる)文化祭実行委員長の手伝い。
…小野チャンの「約束」は、あまりにも無謀に思えた。
けれど、これで守らなかったりしたら、次は更なる苦しみが待っているだろう。
―やるしかない。
やるしか…ない。
やる、し…