俺に声援を
一回表

迎える春

白い雪が舞う2年の冬。
大粒の雪は、傘を持たない私の頭を湿らしていく。

「おい、ボッーとするなよ?逸れるぞ?」

晴仁くんが私に声をかけた。

「ごめんごめん。」

私は、早足でウィンドブレーカーを着た男の集団の中に入った。
背中には長い筒状のバッド専用の袋、肩には学校の名前と野球部の文字が入っているスポーツバック。
そう、こいつらは野球部だ。
晴仁くんは、キャプテン。
そして、私は、マネージャーのひとりだ。

「雪どれくらい積もるかな?」

「たっ、龍臣!急に現れないでよ。」

この男は、桜羽 龍臣。
さっきまで集団の前の方でワイワイ話してたくせに、いつの間にか後ろに下がって、しかも私の隣にいたのだ。

「そんな驚かなくていいじゃん。俺傷ついちゃう。」

少し声を高くして、茶化すように言う龍臣。
こういうのは日常茶飯事で、毎度のように流そうとした。
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