オープン・ステージ
1-6
このプレハブ小屋は、私と俊太の秘密基地的な場所で、私の祖父のものだった。
祖父は俊太のことも、自分の孫のように可愛がっていた。その祖父は一年前に亡くなり、今は祖母が持ち主になっている。
もちろん鍵は私も持っていたけれど、初対面の男性を中へ招き入れるなんて、出来ないというか、普通はしないでしょうから……。
プレハブ小屋は十畳ほどの広さだ。小さなキッチン、テーブルと椅子。冷蔵庫や小さな食器棚など、それなりに充実している。トイレは祖母の家がすぐ近くにあるので、そこまでわざわざ帰っていた。
周りは田んぼばかりで、あまり人は通らない。たまに、この辺を散歩コースにしている老夫婦や、犬を連れた人が通るくらいかもしれない。
「今、雷が一番近い時かもな」
プレハブの中に入ってから、どのくらい経っただろう。俊太は窓の外に目をやりながら言った。
俊太の目が泳いでいるように見えるのは、気のせいではない。
先程から、地響きを感じるほどの激しい雷鳴を何度も聞いている。
俊太とは対照的に、星原くんは割と平静だ。
「ここって、雷が多いよね。雷鳴の音量も凄まじいし」
「そうなんだよ。日本で雷の多い都道府県TOP10に入ってるみたいなんだよね。音量に関しては、他と比べたことがないから分からないけど」
星原くんの言葉には私が応えた。
次の瞬間、目が痛くなりそうなほどの鋭い閃光が、こちらを突き刺すように走ってきた。
「――っ!」
俊太の眉間に深い皺がよる。
「俊太、我慢しなくていいよ。怖いんでしょ?」
「ばっ、馬鹿! 俺は、雷はもう……克服したんだよ」
そう言った俊太の声は段々と弱くなり、最後の方は小さく唸る雷鳴に紛れて掻き消された。
「へぇ~。去年までは、あんなに怖がってたのに~?」
「うるせぇ」
そんな私たちを見て、星原くんはふっと笑って口を開いた。
祖父は俊太のことも、自分の孫のように可愛がっていた。その祖父は一年前に亡くなり、今は祖母が持ち主になっている。
もちろん鍵は私も持っていたけれど、初対面の男性を中へ招き入れるなんて、出来ないというか、普通はしないでしょうから……。
プレハブ小屋は十畳ほどの広さだ。小さなキッチン、テーブルと椅子。冷蔵庫や小さな食器棚など、それなりに充実している。トイレは祖母の家がすぐ近くにあるので、そこまでわざわざ帰っていた。
周りは田んぼばかりで、あまり人は通らない。たまに、この辺を散歩コースにしている老夫婦や、犬を連れた人が通るくらいかもしれない。
「今、雷が一番近い時かもな」
プレハブの中に入ってから、どのくらい経っただろう。俊太は窓の外に目をやりながら言った。
俊太の目が泳いでいるように見えるのは、気のせいではない。
先程から、地響きを感じるほどの激しい雷鳴を何度も聞いている。
俊太とは対照的に、星原くんは割と平静だ。
「ここって、雷が多いよね。雷鳴の音量も凄まじいし」
「そうなんだよ。日本で雷の多い都道府県TOP10に入ってるみたいなんだよね。音量に関しては、他と比べたことがないから分からないけど」
星原くんの言葉には私が応えた。
次の瞬間、目が痛くなりそうなほどの鋭い閃光が、こちらを突き刺すように走ってきた。
「――っ!」
俊太の眉間に深い皺がよる。
「俊太、我慢しなくていいよ。怖いんでしょ?」
「ばっ、馬鹿! 俺は、雷はもう……克服したんだよ」
そう言った俊太の声は段々と弱くなり、最後の方は小さく唸る雷鳴に紛れて掻き消された。
「へぇ~。去年までは、あんなに怖がってたのに~?」
「うるせぇ」
そんな私たちを見て、星原くんはふっと笑って口を開いた。