そんなあなたが大好きでした。
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学校に着くと、いつもの様に海ちゃんが後ろから勢いよく抱きついてきた。
「おっはよー!幼なじみズ♡」
朝からハイテンションな海ちゃんこと、
城崎 海は
中学の時からの同級生。元々私と仲がよかったのだが、いつの間にかほかの3人とも
打ち解けていて、今ではこうして
毎朝飛んでくるのだ。
「 おはよ。いつも思ってたけど、幼なじみズってなに?」
4人でいると周りのみんなから呼ばれるこの
呼び方。シンプルすぎる謎のネーミングセンス。付けたのは誰なんだろうか。
一応、以前から気になってはいて。
すると私に後ろからくっついている海ちゃんは
「あんたら4人、この学校の中でいちばん有名な4人組の総称。美男美女の集まりだからね~羨ましいわぁ~」
それを聞くと慌てて
「それなら、私は入れなくてもいいじゃん!りほほど美人じゃないし、蒼ちゃんや律くんと並ぶのだってほんとはやだよ~」
と答えた私。
すると、周りのみんなが溜息をつく。
「この無自覚美少女め…」
海ちゃんが苦笑いを浮かべ、呆れたというように首を横に振ってボソリとつぶやいた。
たくさんの生徒の登校ラッシュの時間帯だったため周りは賑やかで海ちゃんの言葉は私には届いていなかった。
そんな私を見かねた蒼ちゃんが
「まーたそうやってなほはー!
お前だってりほに負けず劣らず可愛いぞ?
しょげんなって。な?」
胸がぎゅっと苦しくなった。
蒼ちゃんの優しい笑顔に私の心は蒼ちゃんでいっぱいになる。
そして私の頭の上に蒼ちゃんの手が乗り、ぐしゃぐしゃっと撫でた。これはいつも私を慰める時にやってくれる優しい蒼ちゃんの癖。
「ほらそこー!イチャついてないで、早く教室行かないと遅刻するよ?」
「い、いちゃついてるんじゃない!!城崎(海)は恋愛しか頭にないのかよっ」
蒼ちゃんが慌てて海ちゃんの冷やかしを否定した。こんなに慌てるのは私とこう冷やかされるのが恥ずかしいからではないのを私は知っている。
蒼ちゃんには好きな人がいるから
このことを再確認した瞬間、また私は胸が締め付けられるように苦しくなるんだ。
私は蒼ちゃんの事が好き
もういつから好きなのかはわからない。
この今の関係を壊したくなくて、ずっと心の奥に気持ちを押し込めてきた。
しかし、それは蒼ちゃんとりほの両片想いを気づいた時から気持ちを秘められなくなっている。
数ヶ月前に蒼ちゃんの相談を受けた時から私はこの辛い気持ちを背負い続けていた 。
あの時のことを今でも鮮明に思いだす。