そんなあなたが大好きでした。
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「なほ?教室着いたけど」
いろいろなことを思い出している間に
教室の前まで来ていた。
「あっ、ごめん律くん、行こうか。
ばいばいりほ、蒼ちゃん、海ちゃん」
「あんた、またぼーとしてたんでしょ。
ぼーっとするのも大概にしないといつか転ぶよ~」
海ちゃんのお説教が入る。いつも私のことを叱ってくれている海ちゃんには
いつか誠意を見せようとは思っているのだけれど、なかなかこの癖は治らない。
「まあいいや。気をつけなよね」
そう言うと3人は自分のクラスの方に歩いていった。
現在高校二年生、私と律くんは同じクラス。
そして蒼ちゃんとりほ、海ちゃんが同じクラスである。
「なほさっきの辛かったんでしょ。」
あんなささいなことにも動揺してしまう私の変化に毎度気づく律くんには驚きしかない。
「律くん、私はどんなに辛くても蒼ちゃんが幸せならそれでいいんだよ」
この優しさが胸に染みる。
そして、私の気持ちを知っているのは律くんと海ちゃんだけだ。
私はいつもの様に律くんたちに迷惑をかけたくないと口角を上げる。
どんなに辛くても、笑顔でいれば
誰かを不安にさせることはないから。
「俺には無理しなくていいっていつも言ってるでしょ。少しくらい気持ち吐き出してないとパンクするよ」
ありがとう、律くん。
心の中でお礼を告げる。
律くんはいつも優しくて、涙が出そうになる。だからこれ以上甘えられない。
「おーい。SHR始めるぞー!」
先生の掛け声と共に皆が席に着いた。
それに合わせ私たちも自分たちの席に戻った。