あの空を飛ぶ鳥のように
私は、乱れた呼吸を整えながら杖を握っていた。魔法を放っては遠退き、魔法を放っては遠退きを繰り返しているため疲れていた。
「……よし。もうすぐで…!フレイムバースト!」
私は、杖先から炎の塊を巨大なモンスターに向かって放つ。炎の塊はモンスターに当たった瞬間、弾け飛ぶ。その衝撃でモンスターは、倒れた。
「…メル、ルシアの傷はどう?」
メルに近づき、問いかけるとルシアの傷は最初から付いていなかったかのように、きれいになっている。
「…聞かなくても完治か。メルに治せない傷は無いもんね」
「…今のところは全て癒せるけど、もしかしたら治せないものが出てくるかも」
「そっか…とりあえず、ルシアを私が背負うか…」
私が倒れているルシアを抱き上げようとすると、メルが「いや、ルシアが目を覚まさないうちにモンスターに遭遇したら、まずい」とルシアに近づき、ルシアを抱え上げた。
「…モンスターに遭遇したら私に任せて」
そう言って私を先頭に歩き始める。
「本当にこっちの方角で合っているのかな?」
「…分からないけど、女王様はこっちの方角だって言ってた。とりあえず、またどこか村があったら聞いてみよう」