あの空を飛ぶ鳥のように



私が目を覚ますと、小さな部屋にあるベッドに寝かされていた。窓越しに見える私の姿が違う。

胸まで延びた赤髪に、燃えるような赤い瞳。そして、この窓から見える景色。全てが私が今まで見てきたものと違っていた。

「……いや、そんなはずは…まさか……私、転生してる!?」

私は、部屋の隅に置かれている刀を見つめていた。そこへ誰かが入ってくる。

「…目が覚めたかのう…」

「え…だ、誰ですか?」

長老の雰囲気を持った白髪頭の高齢者が杖をつきながら私に微笑んだ。

「わしはこの村の長老じゃ。お主、この村の入口で倒れていたんじゃぞ」

「……そうだったのですか…あの、私も色々分からないことだらけなんです。私、気が付いたらわけも分からない場所に居て――」

私は、長老に全てを話した。長老は険しい顔をしながら聞いている。

「……本当に異世界から魂が飛ばされてくることなんてあるんじゃな」

「え、どういう事ですか…?」

「…『黒猫が現れし時、異世界から魂が飛んでくる。その人物は、やがてこの世界の光となるだろう』という言い伝えがあってのう…ちょうどお主が見つかる前に黒猫がこの村にいたんじゃ」

私は、長老の話を聞いて驚きを隠せ無かった。

「…お主、名は何じゃ?」

「私の名前は、ルシア」

私が微笑むと、長老は「ルシアか…可愛らしい名前じゃな…」と微笑んでくれた。

「…まずはこの世界のことを詳しく教えてやろう。その刀を持ってわしに着いてくるんじゃ」

私は、ベッドから起き上がると隅に置かれていた刀を手に持って、軽くとても動きやすい和服を揺らしながら部屋を出た。
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