天然たらしが本気を出す時。
そして昼休み。
「橘さんこれ好きだったよね?
丁度売ってたからあげる」
そう言って七瀬くんが差し出してくるのは、私の大好きなメロンパン。
しかもすぐに売り切れてしまう人気のやつ。
…七瀬くん神!
飛びつく勢いでそれを受け取ろうとすると、ツンツンと背中を突かれた。
後ろには麻里ちゃんがいる。
つまりは、ツンツンの主は麻里ちゃん。
あ、そうか。
引いてみろ作戦をしろってことか!
「…い、いらない」
「…そっか。でもこれ橘さんのために買ってきたから今食べなくても、もらって欲しいな」
「…い、らない」
ああああああ、想像以上に辛いよこれ!
しゅんと悲しそうな顔をする七瀬くんを見て、やっぱりありがたくもらっておこう!と思ってメロンパンに手を伸ばせば、麻里ちゃんに手を掴まれた。
麻里ちゃんに手を掴まれている間に、七瀬くんは安藤くんの元へと行ってしまい、結局メロンパンを受け取ることができなかった。
麻里ちゃん意外と厳しいのね…!