天然たらしが本気を出す時。
・
・
・
待ち合わせの駅に着くと、そこにはもう七瀬くんとコウくんがいた。
走って二人の元へ行くと
「あ、橘さん」
私を見て手を振ってくる七瀬くん。
そして
「小菜お姉ちゃん…っ!」
走って私の元へ来てくれたコウくん。
今日も今日とて天使!!!
相変わらずのふわふわの茶色の髪の毛を揺らしながら走ってくるコウくんの姿はまさに天使。
「コウくんっ!!」
そんなコウくんを思いっきり抱きしめる。
そのふわふわの髪の毛を撫でると
「へへっ、くすぐったいよ」
と照れくさそうに笑う姿は、何回も言うけど天使。
「ごめんごめんっ」
抱きしめていたコウくんを下ろすと
「手、繋ご?」
上目遣いでこちらを見上げてくる。
この歳で、こんなテクニックを身につけているなんて…!
いや、無自覚でやってるんだけどね!?
さすが七瀬くんの弟だよ!
もうお姉ちゃんクラクラしちゃうっ
そして、言わずもがなコウくんとはしっかりと手を繋いだ。
「コウがこんなはしゃぐなんて珍しい」
私とコウくんの元に歩いて来た七瀬くんが、コウくんを見ながら楽しそうに笑う。