天然たらしが本気を出す時。

「………」


でも私も私だ。


今まで散々恥ずかしいセリフを言われてたくせに、こんな気持ちになるなんてさ。



嬉しさと恥ずかしさと緊張と、色んな感情がごちゃごちゃになってしまい、何も言葉が出ない。



ただただ体温だけが上がっていく。

「小菜お姉ちゃん、手熱い」

コウくんにそう言われてしまう始末だ。




結局、七瀬くんに何も言葉を返せないまま電車が来てしまった。




私はまだ身体中が熱いしドキドキしてるのに、七瀬くんはもういつも通りに「俺とも手繋ごうよ」なんて言ってくるから少し腹が立った。少しだけね。




その誘いは丁重にお断りし、コウくんと手を繋いでもらった。結局コウくんの右手に七瀬くん、左手に私という形になった。





よーし、今日は思いっきり楽しむぞ〜!!

目標は2つ!!





コウ君にとびきり楽しい思い出を作ってもらうことと七瀬くんに告白をすること。






頑張るぞ!!
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