天然たらしが本気を出す時。

…パシャり??



「ねえ、今撮った?」

「さあ?」

「絶対撮った!!だってカシャって音したもん!」

「空耳じゃない?」

「空耳なわけないでしょ!
いいよ別に、撮られたら撮り返す。
これが私のポリシーだから」





素早く携帯を七瀬くんに向け、写真をパシャりと撮る。


不意に撮ったのにも関わらず、そこらのモデルよりも綺麗に写っていることが少し悔しい。



きっと七瀬くんのスマホの中にあるさっきの私の写真は、とてつもなくブサイクなのだろう。間違いない。





兎にも角にも、写真が嫌いな彼にとっては相当嫌なことだろうと思っていたのだけれど、本人は全然嫌がっている様子はなく



「嫌じゃなかったの?」

と聞けば

「ん?別に?」




と、不思議そうな顔をしてくる。


え?七瀬くん前写真嫌いとか言ってたよね?


私の記憶違い?





「写真嫌いじゃなかったっけ?」

「嫌いだけど、相手が橘さんだから」





……っ!!!



だ、か、ら、なんでそう言うことをさらりと言うの!?



少し腹が立ったため、大量に撮ってやった。



別に七瀬くんの写真が欲しかったとかじゃないからね。




全然違うからね。


……違うからね?





< 162 / 189 >

この作品をシェア

pagetop