天然たらしが本気を出す時。
「ねえ、橘さん」
「…はい」
私が返事をしたと同時にギシリとベッドが鳴り
七瀬くんがベットの上に座った。
そして私の髪の毛をさらりと掴み、そしてその髪の毛を私の耳にかけながら、彼は言葉を発する。
「ゆっくり時間をかけて落としていけばいいって思ってた」
カチッカチッと鳴る時計の針の音が
だんだんと聞こえなくなる。
彼の
「でも、もう我慢できない」
その声だけが
私の耳に入ってくる。
「ねえ、小菜」
彼の瞳が私を映す。
「……俺の彼女になってよ」
そう言う彼の表情は、なんだか苦しそうで
「ーーーーー………はい」
そう言う私の表情は、どんな表情だったのだろう。