天然たらしが本気を出す時。


ことの発端は数十分前。



長く退屈な授業を終え、放課後クラスの女子数人で所謂コイバナというやつをしていた。


窓の外は群青色の空とゆらゆら浮かぶ白い雲、まだまだ沈まぬ太陽が夏が来ているのだと知らせてくれている。


蝉が鳴く音と窓から吹き込む新鮮な風を肌に感じ、風光明媚な場所で育ってよかったなあとぼんやり考える。



私たちは窓側に椅子を寄せ集め、丸くなって話をしていた。





「私実は隣のクラスの
佐藤くんと付き合ってるんだ~」


「え!?まじで!」


「かすみやるじゃ~ん!」


頬を紅潮させ照れくさそうに
そう言うのはかすみちゃんで。

彼女のその発言からみんな待ってましたと言わんばかりに口々に

「実は私、この前南くんに告白しちゃったんだ」

「私、先輩が好きなんだ…」





自分の好きな人や付き合っている人を暴露していく。


恥ずかしそうにしてるけどね内心言いたくて言いたくて仕方がなかったに違いない。


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