天然たらしが本気を出す時。
「じゃあ俺帰るね」
「うん、送ってくれてありがとう。気をつけてね」
「ん、また明日」
そして、歩き出したから帰るのかと思いきや
くるっと振り返り私に近づき、耳元でこう囁いた。
「またしんどくなった時は俺のこと呼んでよ。
今度はちゃんと慰めてあげるから」
「…はっ、」
「はは、真っ赤」
満足そうに微笑んだ七瀬くんは
「じゃあね。橘さん」
颯爽と帰って行った。
……………ナニコレ。
なんだ、今の。。
自分の耳元に手をやると尋常じゃないくらいに熱を帯びているのがわかった。
な、七瀬くんやることがえげつい…!!
これまさか私のこと好きなんじゃ…!?
モテ期きたんじゃ!?
一瞬そう考えたけれど
七瀬くんが天然たらしだということを思い出し
それはありえないと思い直した。
…顔、熱い。
天然たらし、コワイ。