天然たらしが本気を出す時。
「まあ、小菜に告白はハードル高いかあ」
「ビビリだもんねっ」と余計な一言を付け足されたけど、まあ合ってるから否定はしない。
私は正真正銘の根性なしだから。
「じゃあ当日は私とミユがお化粧と髪の毛やりにいってあげるよ。美容院高いし」
「え、いいよ!浴衣着るわけでもないんだし、そこまで張り切らなくても…」
「浴衣着ないの?」
「え…着ないけど…」
私の言葉にマイが大きなため息をつく。
「浴衣着ないのになんで祭りに誘ったの!?
浴衣は普段と違う色気を見せるための絶好のチャンスなのよ?」
「…でも歩きづらいし」
「女は可愛さのためなら痛いのも寒いのも我慢するの!」
「私は痛いのも寒いのも嫌だなあ…」
「1日くらい我慢しなさい!それに男は浴衣が好きっていうデータはすでに手に入ってんのよ!」
このあと数分間、男女の祭デート(と言っていいのかわからないけれど)において、いかに浴衣が大事かを力説され「うん」と言わざるおえなくなった。
その日の夜、やっぱり急に浴衣で現れて引かれたら嫌だと思い七瀬くんにメールを送った。
『お祭りなんだけど浴衣着ていったらひく?』
とど直球に送れば
『なにそれ楽しみ。俺も着てく』
ノリノリな返事が返ってきた。
七瀬くんも浴衣着てくるのか。
……美少年に浴衣は反則でしょ。
いい要素しかつまってないじゃん。
私も少しでも見劣りしないようにパックとスクラブしとこ。ジョギングもしよっかな。。