天然たらしが本気を出す時。
「そっか~、麻里ちゃんが堀北をね…」
「麻里ちゃんならいけるよ!」
みんなが麻里ちゃんを応援する中、私一人だけ下を向き声をかけられずにいる。
…言った方がいい?
私も堀北が気になってるって。
この場で?
この雰囲気で?
いや~無理でしょ。
一瞬にして場が凍りつくのが容易に想像できる。
このきゃっきゃうふふな場を、私のたった一言で南極にする自信しかない。
言えない、言えるわけがない。
そしてパッと顔を上げた瞬間、麻里ちゃんと視線が交わってしまった。
麻里ちゃんは天使のようにふわりと微笑みこう言った。
「小菜ちゃんは好きな人、いる?」