天然たらしが本気を出す時。
「そういえば飛行機の席決めてなかったよね」
と、マイがバスに乗って早々開けたお菓子を食べながらそう言った。
早くね。お菓子食べるの早くね。
5時だよ。胃もたれする…。
「そうだね~。まあ、私とマイ。七瀬くんと小菜。堀北と麻里ちゃん。中谷くんと安藤くん。
でいいと思う」
ミユが1人で頷きながら満足げに言った。
「え、私七瀬くんとなの?」
「うん、妥当じゃない?」
「いや、妥当じゃない!私麻里ちゃんと乗る!」
「ダメだよ~。麻里ちゃんは堀北とでしょ~」
とミユが前の方をチラリと一瞥する。
私もミユの目線の先を見てみると、そこには麻里ちゃんと堀北が2人で座っていた。
そっか。それなら仕方ないか。
「わかったよ」
と、その場では納得したものの、実は私は堀北が麻里ちゃんと座るなら私は堀北と仲のいい安藤くんの隣に座ろうと思っていたのだ。
だがしかし、チケットをもらった時
「俺、橘さんと座るね」
とサラリと言い放った七瀬くんにより、私は結局七瀬くんの隣に座ることになったのだった。
ナンテコッタ。
あああ、飛行機の席って案外隣と近いんだけど!
北海道までだからそこまで長い時間乗るわけではないけれど、この距離にいつまで耐えられるのか不安だ。
気を紛らわそうと即座にヘッドホンをして音量を大きくして映画を見た。
けれど数時間後
「…っ!?」
突然肩に重みを感じた。