天然たらしが本気を出す時。
「橘さん、コウと一緒にいてくれたんだね。ごめんね。コウもごめんな」
やっと女子達から解放されたのか七瀬くんが申し訳なさそうに謝る。
私とコウくんは首を横にフリフリ。
全然気にしなくていいのに。
むしろコウくんと話せて幸せマックスなのに。
「大変だったね」
と苦笑気味に声をかけると
「あの子達全員、橘さんだったら嬉しいのにね」
と笑う。
なにその発想…。
私がそんなにたくさんいても良いことなくない!?
ていうかそんなにたくさんいたら気持ち悪いよ!
なんていうツッコミは口には出さないけれど、少し冷ややかな目線を七瀬くんに送る。
でもそんなことには一切動じない彼はニコリと笑い
「橘さんと写真撮りたい。だめ?」
と私の顔を覗き込んでくる。
近い近い近い!!!
距離感を!考えなさい!本当に!
私の心臓止めたいの!?そうなのか!?
「さっき断ってたでしょ?いいの?」
「橘さんとじゃなきゃ嫌だから断ってたんだけど」
…ま、た!こういうことをサラッと!!
でも七瀬くんとの写真ほしい。
……かもしれない。
それに美少年と写真を撮れる機会なんてそうそうないし。
「あっちでなら…」
「やった」