あなたとの距離
第8章 モヤモヤする気持ち

またあの組み合わせ。

なぜか古谷さんが明日香と組んだ事で、立花さん&長谷川さんという、異色ペアが出来上がってしまった。

さすがに、これはクラス全体の注意を引いたようで、あちこちから2人の仲を深読みする意見が聞こえてくる。

驚くのも無理ないよね。
ギャルの長谷川さんと、スポーティーで硬派な立花さんじゃ、接点なさそうだもん。

でも意外にも長谷川さんは運動神経良くて、練習が始まると、どのペアよりも様になっていた。

私じゃ、立花さんと組んでもきっと足手まといになるだけ。
羨ましいな。

「恵那、よそ見してたらぶつかるよ!」

ペアの相方になった理沙が声をかけてくる。

「ごめんごめん」

「あそこのペアはともかく、私的には、向こうの明日香ペアがツボなんだけどね」

そうやって理沙が向いた方を見ると、古谷さんが身長差を活かして、明日香を完全に弄んでいた。

ボールを片手で高々と持ち上げて挑発する古谷さん。
「ほーらほーら。取れるもんなら取ってみ」

え、結構真面目だと思ってたけど、大人気ない、、、。
あんな人だったんだ。

「明日香、楽しそう」
って理沙は言うけど、当の明日香は何とかボールを取ろうとぴょんぴょん飛び跳ねながら、
「何よ、あんたなんてデカイだけが取り柄でしょ」
と騒いでる。

あれは楽しいって言うのかな?
まあ見てる方は楽しいけど。

立花さんペアに目を戻すと、ネット下に移動していて、丁度立花さんが長谷川さんを抜き去ってジャンプシュートを放つところだった。

パシュっ。

綺麗な放物線が描かれ、ボールがネットに吸い込まれる。

おおっ。
そこかしこから感嘆の声が上がる。

やっぱり凄いなあ。

やっぱり、、、遠いなあ。
< 8 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop