先生と準備室
「藤井、このままで良いから。
俺がこうしてたいんだ。」

そう、きつく抱きしめられて抜けられな

かった。

「リレー…は、前に体育大会で熱中症に
なって、みんなから速いのに残念とか
言われて…それから"速い"と"リレー"
って言葉は嫌いになった。」

「うん。そっかそっか。
ごめんな、俺何も知らなかった」

「うぅ…先生…謝らないで…泣いちゃう…」

「もう泣いてるじゃん。」

私は悔しくて先生のスーツをギュッと握る。
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