先生と準備室

「藤井…ごめんな…」

ゆっくりと私の手を握りながら頭を

撫でる。

握られた手はブランケットで隠れちょうど

見えないようになっている。

先生の手の暖かさが心地よく眠りに付けそう

だったのにまた揺れる。多分山道に

入ったんだろう。

気のせいかバスの中が少し冷えた気がする。

バスが揺れるたびに、痛みが波で来る。

「せんせ…痛いッ…」

ブランケットの中で手をギュッと握る。

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