先生と準備室
「好きになってよ…
俺はまだ…」

「え…?」

「や…なんでもない。
ほら、行こう?」

顔を手で覆っている先生に手を引かれながら

歩き始める。

宿までは結構距離があり、雪が積もって

滑る道を登り続けないと行けない。

歩いている途中、視界が何度かグニャリと

歪んだけど、先生には言わなかった。

言わなかったじゃなくて言える雰囲気じゃ

なかった。先生は私の手を引き歩きやすい

ところを歩いてくれているし無言だし

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