インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「それはそれでどうかと思うけど……もしイヤだと思ったら言って。イヤだってハッキリ言ってくれたらすぐにやめるから」
「うん、わかった」
尚史の『それはそれでどうかと思うけど』という言葉の意味はよくわからなかったけど、尚史が私を気遣ってくれていることだけはよくわかった。
缶コーヒーを飲みながらゆっくり歩いて私の家の前にたどり着くと、尚史は右手に持っていたコーヒーの空き缶を鞄と一緒に左手に持ち直して右手を差し出した。
「昨日は一瞬だったから、今日はもう少しだけ長く握手してみるか」
「ああ……うん、そうだね」
私が差し出した右手を尚史がそっと握る。
私の手のひらが尚史の手のひらと重なって、重なった手のひらから尚史の体温が伝わってくる。
「モモの手、ちっちゃいな」
「尚史の手が大きいんだよ」
「それもあるけど……」
尚史は私の手をほんの少しだけ強く握る。
「やっぱちっちゃいし、柔らかい。思いきり握ったら折れそう」
「……それだけはやめてよ?」
「するわけないだろ」
尚史は少し照れくさそうにゆっくりと離したその手で、また私の頭をポンポンと軽く叩いた。
これは尚史の中の『彼氏像』みたいなものなのか、少女漫画のイケメンヒーローみたいなことをするんだなと思う。
「うん、わかった」
尚史の『それはそれでどうかと思うけど』という言葉の意味はよくわからなかったけど、尚史が私を気遣ってくれていることだけはよくわかった。
缶コーヒーを飲みながらゆっくり歩いて私の家の前にたどり着くと、尚史は右手に持っていたコーヒーの空き缶を鞄と一緒に左手に持ち直して右手を差し出した。
「昨日は一瞬だったから、今日はもう少しだけ長く握手してみるか」
「ああ……うん、そうだね」
私が差し出した右手を尚史がそっと握る。
私の手のひらが尚史の手のひらと重なって、重なった手のひらから尚史の体温が伝わってくる。
「モモの手、ちっちゃいな」
「尚史の手が大きいんだよ」
「それもあるけど……」
尚史は私の手をほんの少しだけ強く握る。
「やっぱちっちゃいし、柔らかい。思いきり握ったら折れそう」
「……それだけはやめてよ?」
「するわけないだろ」
尚史は少し照れくさそうにゆっくりと離したその手で、また私の頭をポンポンと軽く叩いた。
これは尚史の中の『彼氏像』みたいなものなのか、少女漫画のイケメンヒーローみたいなことをするんだなと思う。