インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「明日、11時に改札口な。寝過ごすなよ」
「尚史こそ夜更かしして寝過ごさないでよ」
「あー……じゃあ起こしてくれる?10時に電話して」
「わかった、10時ね」
普段の連絡はトークで済ませるのに、電話をしてくれと言うなんて珍しい。
トークの通知音では起きられない恐れがあるから、確実に起きるために電話をしてと言ったのかな。
「おやすみ」と言いながら軽く右手を上げて尚史は帰っていった。
尚史の後ろ姿を見送ったあと、私はまたさっきまで尚史と握り合っていた右手をじっと見る。
昨日よりもう少しどころか、ずいぶん長い間お互いの手を握り合っていたように思う。
どれくらいの間そうしていたのか、実際には10秒くらいだったのかも知れない。
尚史は『イヤだと思ったら言って』と言っていたけど、私はイヤだと思うどころか、尚史の手のあたたかさや大きさがなんとなく心地よくて、もう少しそうしていたいような気がした。
そう思った途端、またあの不思議な感覚が私の体の中にわき起こる。
むず痒さに加えて動悸までして、身体中が火照り始めた。
一体なんなんだ、これは?
慣れないシチュエーションで神経が昂っているのかも知れない。
早くお風呂に入って寝てしまおう。
「尚史こそ夜更かしして寝過ごさないでよ」
「あー……じゃあ起こしてくれる?10時に電話して」
「わかった、10時ね」
普段の連絡はトークで済ませるのに、電話をしてくれと言うなんて珍しい。
トークの通知音では起きられない恐れがあるから、確実に起きるために電話をしてと言ったのかな。
「おやすみ」と言いながら軽く右手を上げて尚史は帰っていった。
尚史の後ろ姿を見送ったあと、私はまたさっきまで尚史と握り合っていた右手をじっと見る。
昨日よりもう少しどころか、ずいぶん長い間お互いの手を握り合っていたように思う。
どれくらいの間そうしていたのか、実際には10秒くらいだったのかも知れない。
尚史は『イヤだと思ったら言って』と言っていたけど、私はイヤだと思うどころか、尚史の手のあたたかさや大きさがなんとなく心地よくて、もう少しそうしていたいような気がした。
そう思った途端、またあの不思議な感覚が私の体の中にわき起こる。
むず痒さに加えて動悸までして、身体中が火照り始めた。
一体なんなんだ、これは?
慣れないシチュエーションで神経が昂っているのかも知れない。
早くお風呂に入って寝てしまおう。