インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
着てきた服に着替えようか、それともそのまま着て行こうか悩んでいると、尚史が少し離れた場所にいる店員を呼んで「このまま着ていくのでタグを切ってください」と頼んでくれた。

店員にタグを切ってもらって会計を済ませ、私が着てきた服の入った紙袋を持って店を出ると、尚史は靴屋の方を指差した。

「靴も買う?」

「あ、うん」

「じゃあ靴屋行こう」

服を買ったらそれに合う靴も買おうと考えるのは当たり前なのかも知れないけれど、尚史がそれに気付いたのは本当に意外だった。

私の服を選んでくれたり、店員を呼んでくれたり、さっきから尚史がいつもとは全然違う。

明け方近くまでゲームをして常に寝不足で無気力ないつもの尚史とはあまりにもギャップが大きすぎて、なんだか尚史じゃないみたいだ。

できるだけ彼氏らしくしようと、かなり頑張ってくれているのかな?

もしそうだとしたら、尚史とのデートのために、尚史が選んだ服を買って良かったと思う。

一緒に靴屋に行って、買ったばかりの服に合うあまり踵の高過ぎない歩きやすそうな靴を買った。

靴もその場でタグを切ってもらって会計を済ませ、履いてきた靴を紙袋に入れてもらった。

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