インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「他にも買うものはある?」

「とりあえずこれで大丈夫かな」

「じゃあそろそろ行くか。その荷物は駅のコインロッカーに預けておけば?」

「うん、そうする」

ショッピングモールを出て駅に着くと、まずは荷物をコインロッカーに預けた。

そして今日最初のターゲットをどのカップルにしようかと辺りを見回す。

「できるだけ同世代のカップルがいいかな」

「いや、いっそのことランダムに決めた方がいいんじゃないか?例えば、この改札機を通った3組目のカップルとか」

「それもいいね」

二人とも通勤用の定期で改札機を通り抜け、そのあとを通った3組目のカップルの後ろをついて行くことにした。

そのカップルは私たちより少し歳下の20代前半といったところだろうか。

軽く腕を組んで仲睦まじそうに笑っている。

尚史は私の方に肘を少し近付けた。

「早速だけど……腕、組んでみる?」

「う……うん……」

男の人と腕を組むのなんて生まれて初めてだから、いくら相手が尚史でもかなり緊張する。

ターゲットのカップルの彼女を真似して、尚史の左腕におずおずと右腕を回してみた。

なんだこれ……めっちゃ恥ずかしい……!

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