インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
それは毎晩私を抱いて寝たいと言うことか……?

尚史のベッドで一晩中尚史に抱かれる……?

思い浮かべてしまったシーンはただ抱きしめて眠るだけでなく、なぜか裸で絡み合っている生々しいものだったので、私は慌ててその妄想をかき消そうと尚史の頭を掴んで思いきり頭突きを食らわした。

一瞬頭に星が飛ぶほどの衝撃で、二人とも両手で頭を押さえてうずくまる。

頭突きを食らった尚史だけでなく、食らわした私も大ダメージだ。

「いっ……てぇ……」

「断る!!私は抱き枕じゃないんだからね!くだらんことばっか言ってないで、はよ帰れ!」

痛みをこらえながら尚史の体をグイグイ押して、無理やり部屋から追い出した。

ヤバイ……脇汗ハンパない……。

気のせいか私の妄想力がどんどんたくましくなっているような……?

またうっかり尚史の抱き枕になっているところを思い浮かべそうになり、頭を抱えてぶんぶん横に振る。

そんないかがわしい抱き枕があるかっ!

ついこの間まではこんなことはなかったはずなのに、これは絶対に尚史の妙な言動のせいだ……。

とにかくこれ以上尚史に振り回されてはいけない。

そうだ、これも八坂さんとのデートで何があっても動じないための訓練だと思って、このお豆腐なメンタルを鰹節並みに強く頑丈に鍛えてやる!



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