インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私からのお礼がもらえそうにないという言葉の意味や、今日の尚史の様子がいつもと少し違った理由は、どんなに考えてもわからなかった。

いろいろ考えすぎて長湯してしまい、のぼせてあやうく倒れそうになったので、その夜は楽しみにしていた漫画を読む余裕もなく眠ってしまった。



翌日の昼休み、いつものようにみっちゃんと佐和ちゃんとアキちゃんと一緒に『アンバー』でランチを食べた。

今日の日替わりランチは、和風ハンバーグとカボチャのコロッケとグリーンサラダだった。

「それでモモ、その後あの人とはどうなってるの?」

ハンバーグを切り分けながらみっちゃんが尋ねた。

朝からずっと今日の夜のことを考えて緊張していた私は、カボチャのコロッケをフォークの先でつつきながらため息をつく。

「じつは……今日仕事のあとで食事しようって約束してるんだけど……朝からずっと緊張してて、胃が痛い……」

「えーっ、今からそんなんで大丈夫なの?」

「モモちゃん、ホントに大丈夫?顔色悪いよ」

私はよほど青白い顔をしているんだろう。

みっちゃんと佐和ちゃんは心配そうに私を見ている。

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