インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
嘘をついたってすぐにバレるだろうし、よく考えたらこの3人には無理して隠す必要もないので、同じビル内の会社に勤めている幼馴染みだと正直に話すことにする。

「あー……うん、あれね、物心つく前からの幼馴染み。八坂さんと同じ会社で働いてるの」

「幼馴染み……?って、大人になっても手を繋いだりするもんですか?」

「そんなの普通ならしないよ?これにはわけがあって……」

結婚すると決意したあとに八坂さんとデートすることになり、男性への苦手意識を克服して結婚にこぎつけられるように、同じく幼馴染みのキヨの提案で『デートの予行演習に付き合ってもらった』と話した。

仮想カップルになって抱きしめられたり頬擦りされたりしていることは、さすがに恥ずかしくて言えない。

「へぇ……。でもモモさん、あの人とは普通に話せるし、手を繋いでも大丈夫なんですね」

「幼馴染みとかよく知ってる相手なら、男の人でもわりと普通に話せるよ。尚史とは一緒に御飯食べたり部屋で遊んだりは昔からしてるから、二人きりでも全然平気。でも手を繋いで歩いたのは小1以来だったから、さすがに恥ずかしかったけど……なんとか大丈夫みたい」

私がそう言うと、コーヒーを飲みながら私の話を聞いていたみっちゃんが首をかしげた。

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