インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
だったら私は八坂さんとお付き合いをした上で、八坂さんをもっとちゃんと好きになる努力をした方がいいんだと思う。

八坂さんのことをもっとよく知って好きになれば、きっと触れられても大丈夫になるはずだ。

「そっか……なるほどね。うん、決めた。尚史のおかげで踏ん切りがついたわ、ありがとね」

「踏ん切りってなんの?」

「うん……何もなかったってさっきは言ったけど……ホントは八坂さんから、付き合おうって言われたんだ。ビビっちゃってすぐには返事できなかったんだけど、次に会うときにOKして付き合おうかなって」

目標に近付いたことを誰よりも喜んでくれると思ったのに、尚史は険しい顔をして私の両肩を強くつかんだ。

「モモはホントにそれでいいのか?」

「うん……悪い人じゃないと思うし、付き合ったらきっと今より好きになると思う」

「付き合っても結婚できなかったらどうするんだよ」

「八坂さん、結婚考えてるんだって。私も早く結婚したいって言えば、光子おばあちゃんの願いを叶えてあげられるかも知れないから」

私がそう言うと、尚史はゆっくりと私の肩から手を離した。

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