インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「とりあえず明日、俺とモモは結婚する。一応夫婦になるわけだから、できるだけ早いうちに新居見つけて、いろいろ準備が整ったら引っ越して一緒に暮らす。そこまではOKだな?」

「ああ……うん……」

『とりあえず』とか『一応』とか言われると、ものすごく事務的に聞こえる。

まるで業務連絡だ。

普通のカップルのような甘い言葉なんかを期待していたわけではないけど、尚史は私との結婚を幼馴染みの義務みたいに思っているのかも。

「それから新居は会社に近い方がいいか?それともこの辺りの方がお互いの実家が近くて便利かな」

「どっちも便利でいいけど……家賃によるんじゃない?」

「それもそうか。部屋の間取りは2DKか、欲を言えば2LDKか……。どっちにしても部屋はふたつ欲しいだろ」

尚史はどうしても部屋がふたつは欲しいらしいけれど、そこにこだわる理由が私にはよくわからない。

「部屋はふたつって……寝室ともうひとつは何に使うの?客間?」

「いや、俺の部屋とモモの部屋」

「えっ」

まさかの夫婦別室か!

結婚したら同じ部屋で寝るもんだと勝手に思い込んで、これでは私が夜の営みを期待しているみたいじゃないか!

誤解されていたら恥ずかしい……!

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