インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
単純に男の人との接触に慣れてきたからだと思っていたけど、八坂さんに触れられたときは、ただただ気持ち悪いと思った。

尚史に触れられても平気なのは、単純に慣れたからなのか、『好き』だからなのか、どんなに考えても私にはやっぱりわからない。

だけど胸がモヤッとする原因はなんなのか、本当に嫉妬なんだだろうかと考えていると、ようやく薬が効いてきたのか少し胃の痛みが和らいで、だんだん眠たくなってきた。

処方してもらった薬は市販薬よりよく効くようだ。

ゆうべは胃痛のせいであまりよく眠れなかったことだし、ちょうどいいから眠ってしまおう。

そうすれば何も考えなくて済む。

私は自らの思考をシャットダウンして、だんだん強くなっていく眠気に身を委ねた。


目が覚めると窓の外は暗くなっていた。

どれくらい眠っていたんだろう?

スマホで時刻を確認しようと思ったとき、つけた記憶のない部屋の灯りがついていることに気付いた。

母が様子を見に来て照明のスイッチを入れたのかと思いながら寝返りを打つと、いつの間に来たのかベッドのすぐそばには尚史が座っていた。

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