インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
佐和ちゃんの言う通り、幼馴染みの尚史とずっと一緒にいたいなんて、所詮無理な話だったんだな。

そう思った瞬間、尚史が私の体をギュッと抱きしめた。

私は何が起こったのかと大きく目を見開き、尚史の背中をバシバシ叩いた。

「ちょっ……えぇっ?なんなのこれ?!」

「幼馴染みだからってだけで一緒にいるのはもうやめる。だけど俺はモモと結婚する」

「はぁっ?!」

幼馴染みはもうやめたのに私と結婚するだって?

谷口さんと付き合ってるくせに?

そんなのどう考えてもおかしいでしょ?!

尚史が何を考えているのか、さっぱりわからない。

「尚史……あんたバカ?」

「失礼な。モモよりはマシだと思うぞ?」

「だったらなんで……!」

「俺がしたいと思ったからだけど?」

こんな飄々とした顔で言われても、本気なのかただの気まぐれなのかさえわからない。

私は尚史の体を思いきり押し返して、今度は逆に私が尚史の顔を両手でガシッとつかんだ。

尚史は相当驚いているようで、私にされるがままになっている。

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