インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「結婚するなら相手は選べって言ったのは尚史でしょ?」

「ああ、言ったな」

「じゃあちゃんと考えなさいよ!結婚は一生のことなんだよ?」

特大ブーメランの如く母に言われた言葉を放つと、尚史は呆れた顔をして大きなため息をついた。

「それ、モモが言う?」

「言うよ!私のことはともかく、尚史にはその場の勢いとかノリとかで後悔して欲しくないもん!」

彼女が優先になって一緒にいられなくなるのは寂しいけれど、尚史には幸せになって欲しいと思っているのは事実だし、何より彼女を裏切るとか悲しませるとか、八坂さんみたいにひどいことはして欲しくない。

「なんで俺が後悔するって決めつけんの?」

尚史は真顔になって両手で私の手をつかんだ。

私は尚史の視線から逃れようと目をそらす。

「だって……尚史には私より大事な人がいるでしょ……?」

「いないけど?」

「嘘だ、尚史は谷口さんと付き合ってるもん!」

「何それ、どこ情報?付き合ってないし」

「えっ?」

あんなに仲良くしているのに付き合ってないだって?

付き合ってないならなんなの?友達?

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