インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
出してしまったものはどうしようもないし、もう『やめる』とは言えないから、腹をくくるしかなさそうだ。

こんなめちゃくちゃな経緯で結婚したのに、『ちゃんとした夫婦になりたい』と尚史は言った。

……それってやっぱり、営むってことだよね?

「私……尚史に食われるの?」

「そりゃまぁ、俺はそのつもりだけど……モモがどうしてもイヤだって言うなら我慢する。モモにだけは嫌われたくないからな。それにモモが俺を好きじゃなかったら、無理やりしたって意味ないじゃん。俺はモモといられたらそれでいいよ」

もしかしたら一生セックスレスの可能性がある結婚なんて、普通の男性ならどう考えたってイヤだと言うに決まっている。

だけど私はきっと心と体を切り離せないから、割り切って『性欲は別の人に満たしてもらってね』とは言えない。

そんな結婚は尚史にとって負担でしかないと思う。

「……尚史はホントにそれでいいの?私に合わせてたら、ヘタすると一生できないかも知れないよ?」

「本気で『いいよ!』とは言い難いけどな、一応俺も健全な成人男性だし、性欲も人並みにあるから」

「……だよね」

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