インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「オシャレな店で女子に人気の料理を食べさせてくれるより、私は尚史にこうしてもらう方が嬉しいよ」

「なんだ……安上がりだな、モモは」

「漫画の全巻セットねだられる方が良かった?」

「んなわけないじゃん。俺はこの先ずっとモモのもんだ。もちろんモモは俺のだから、誰にも渡さん」

「うん……そうしてね」

ずっと一緒にいてお互いをよくわかっていたつもりでも、言葉にしないと伝わらないことってあるんだな。

これからは私も、もう少し素直に自分の気持ちを伝えようと思う。

そうすれば些細なことですれ違ってケンカになることもないだろう。

できればずっと一緒に笑っていたいもんね。

「モモ、やっぱり結婚指輪買いに行こうよ。二人でいい店探して、二人が気に入る指輪を一緒に選ぼう」

「うん、それがいいね」

「明日はおばあちゃんに結婚の報告しような。それから新居探しだ。いい部屋が見つかるといいな」

「そうだね。新居が決まらないと会社に書類も提出できないもんね」

私が何気なくそう言うと、尚史は小さくため息をついた。

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