インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
キスしていいかと改めて聞かれると恥ずかしくてたまらない。

だけど私自身もそうして欲しいと思う。

私が素直にうなずくと、尚史は私の唇にゆっくりと唇を重ねた。

尚史の唇は柔らかい凶器のように、私の唇に狙いを定め何度も何度も愛しそうについばみ、温かく湿った舌先で優しく私の唇をこじ開けて舌を絡め取る。

私は初めて経験する大人のキスに抗うこともできず、されるがままにそれを受け入れた。

私の口内を隅々まで丁寧に撫でる尚史の舌の心地よさに酔いしれながら、私は尚史の腕の中で尚史に求められる喜びを感じている。

尚史とのキスはちっとも気持ち悪くないし、全然イヤじゃない。

イヤじゃないどころか、あたたかくて気持ちよくて、もっとして欲しいと思ってしまう。

キスでこんな風に思うなら、この手で素肌に触れられるとどんな気持ちになるんだろう?

きっと私は、尚史に与えられる愛情と快楽には抗えない。

長いキスのあと、私はあまりの恥ずかしさで再び両手で顔を覆った。

「尚史……なんかやらしい……」

「今頃気付いたの?俺はずっと、モモにこんなキスしたいって思ってたんだけど?」

「バカ……。他の人にしたら許さないからね」

「わかった。この先一生モモにだけするから、もっとしていい?」

「……うん」

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