インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「じゃあ、式はこれだけでいいか。呼びたい友達と親戚には声かけるってことで」

「うん、それでじゅうぶん」

私と尚史はそれでじゅうぶんだと思っているけど、洋子ママは少し残念そうだ。

「そうなの~?モモちゃんと尚史の披露宴、ママは楽しみにしてたんだけどな。モモちゃんの可愛いカラードレス姿も見てみたかったわぁ」

洋子ママは前にも『娘が欲しかった』と言っていたし、小さい頃から本当の娘のように可愛がってくれていたからか、実の息子の尚史の晴れ姿以上に私の花嫁姿を楽しみにしてくれていたらしい。

「じゃあ、これとは別で写真だけ撮りに行くか?」

「うん、そうしようか。こういうときでないと着る機会もないもんね」

「おふくろもそれでいい?」

尚史が尋ねると、洋子ママは笑いながらうなずいた。

「二人が納得してるならそれが一番いいわね。モモちゃんが尚史のお嫁さんになってくれただけでも嬉しいし」

いまさらだけど、結婚するとお互いに、相手の家族が自分にとっても家族になるんだ。

もし他の人と結婚していたら、友達の結婚苦労話のように、結婚式のことにもいろいろ口出しされて辟易していたかもと言う思いがよぎった。

私はとても運がいいのかも知れない。

お姑さんになったのが、理解と思いやりのある洋子ママで良かったと心から思った。




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